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給料アップで万歳?『賃上げ税制』

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 来年度の税制改革の焦点となっているのが、企業が従業員に支払う賃金を上げるなど一定条件を満たせば法人税が減税される「賃上げ税制」です。FP3級試験とは関係ありませんが、私たちの生活には関係あります。

「賃上げ税制」の中身

 「一定額以上、従業員の給料あげたら法人税を下げてあげるよ」という制度です。

 つまり見た目には従業員は給料が上がって万歳、企業は法人税が下がって万歳、という感じでしょうか。まぁ企業側は増えた人件費以上に減税効果があれば初めて万歳といえるわけですが。

給料アップはどれくらい?

 12月9日の報道によると大企業と中小企業で要件は異なるみたいです。大企業では給与支給額4%アップ、社員教育の充実で30%の税額控除。中小企業は給与支給額を2.5%アップ、もしくは1.5%アップに加えて社員教育の充実で40%の税額控除です。

 なかなか大きい減税額となっており、さらに明確に給与アップの基準も示してあるので歓迎されそうな制度です。

あまり歓迎されている様子がない

 従業員は給料がアップして、企業は税金が安くなると良いことばかりのように見えますが、さほど歓迎されている制度ではないようです。

そもそも赤字の中小企業

 まず企業側です。

 法人税というのは企業が獲得した利益に課税されます。つまり赤字であれば法人税を支払う必要がありません。

 そして2019年のデータではありますが、日本の法人の65%が赤字法人です。リーマンショック時から順調に減ってきているとはいえ、2/3にあたる数の法人が法人税の対象外です。法人税減税は給与UPの動機にはなんら影響ないわけです。

大切なのは可処分所得の増加

 従業員の目線でも給料UPだから大歓迎!とはいかないようです。

 多く耳にする意見は「結局、可処分所得が大して増えないので消費も喚起されない。」といった内容です。つまり社会保険料などの保険料や税金が支給額が増えた分増加して、昇給の恩恵が薄いということにあります。

 まして毎年のように改定される社会保険料です。「昇給で喜ばせておいて、あとから税金で回収する気だろ」と国民は思っているわけですね。

改革の奥にあるものを見る力

 制度の表面だけ見れば企業は減税、従業員は給料アップ、一体どこに反対する理由があるんだろうと思う人もいると思います。

 しかし先に上げたように、日本には65%の赤字法人があり、法人税を支払っている企業の方が少数であること。給料の支給額が上がっても、その分源泉徴収される税金や社会保険料の支払い額が増えることによって手元には給料が増えた実感がわかない。

 「まさかこれって、我々一般人のためになってないのでは?」と表面上の文言に覆い隠された本質を見抜く力。それが次の選挙の時にしっかり自分の意思を反映させる基礎になります。

 庶民がもろ手を挙げて歓迎するような政策はまずしないだろうと、いつでも懐疑的な目線は持ち続けましょう。自分の身を守れるのは最後は自分だけです。

 今日もお疲れさまでした。