やっぱり下がるのね『住宅ローン控除額』
『住宅借入金等特別控除』、通称『住宅ローン控除』の控除率引き下げがほぼ決まりそうです。
『住宅借入金等特別控除』の変更点(可能性)
1.控除率 1%→0.7%
2.ローン残高上限 4000万円→3000万円
3.控除期間 10年→13年
数日前に上げた住宅ローン控除についての記事内でも触れましたが、控除率の引き下げと控除期間の延長を行う方向で議論がされていくようです。
現行の控除率と控除期間
住宅ローン控除の現在の控除率は”住宅取得対価”または”毎年末のローン残高”のどちらか低い金額の1%です。控除期間は10年間です。
そして所得控除ではなく”税額控除”であることが旨味です。つまり年末調整で控除額がそのまま還付されます。
控除額の上限は入居期間の差異はありますが、控除期間10年間で400万円。年額に直すと40万円ですから、控除の対象となるローン残高は最高4000万円まで、ということになります。
変更後の控除率と控除期間
政府が現在検討している控除率は0.7%で現行の1%から0.3%の減額になります。また、控除期間は現行10年のところを13年に延長する方向で話が進んでいるようです。
なぜ減額するのか
「逆ざや」という言葉があります。この控除はローン残高の1%が還付される控除になります。
これには住宅ローンの利子を補うという目的があります。しかし利息1%未満の住宅ローンを組んでいる人が多く、控除を受けることによって利息の支払いを補う以上に儲かっている人が多数いるという事実があります。これ利益を「逆ざや」と言います。
この「逆ざや」の問題を解決するために、控除率を下げましょうとなったわけです。
控除期間は延長される
現在は控除期間は原則10年ですが、消費税10%適用後の入居開始であれば3年間延長するという特例制度があります。
原則13年と3年間の延長ということですが、前回の記事にも書いたように控除額が減額されることを補う意図があってのことかと思います。
控除期間そのままで控除額のみ減額する。こんなことをすれば住宅購入の意欲が下がり、市場が冷え込むことを懸念したと考えられます。減税を嫌う財務省と活発な住宅市場を望む国土交通省の意思を両立したということでしょうか。
もう一つ引き下げられたものがある
もう一つ引き下げられたものがあります。ローン残高の上限額です。
先の記述の通り、控除額の限度額は現行10年間で400万円。そこから逆算してローン残高の上限額は4000万円ですが、新制度ではローンの上限額が3000万円に引き下げられる可能性があります。
ローンの上限額が3000万円であれば、控除率0.7%ですから、毎年の控除額上限は21万円。13年間で273万円です。現行の制度から127万円の減額となります。
税制改正は注視
今回の住宅ローン控除の各種変更点はまだ確定ではないようですが、報道の内容からほぼ決まりでしょう。ただ、報道機関によっては減額部分のみが報道されており、期間延長が抜けていたりしています。改悪だけではなく、改善点もあることも知るべきです。ただトータルでは改悪ですけど。
住宅ローン控除に限らず、「賃上げ税制」など税金に関わる問題は直接我々の生活に影響を与え、また将来設計にも影響します。政府の行う財政政策の何が問題で、どんな影響を受けることになるのか。しっかりニュースを追っていけば、しなくていい損を回避できるかもしれません。
というわけで、『住宅ローン控除額』の復習とニュースのお勉強でした。
本日もお疲れさまでした。